あいさめの知的探求

私がふと興味を持ったことを、調べて解説するブログ。

若者の読書離れって本当? その実態を調べてみた!

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こんにちは。あいさめです。

 

最近やたらと耳にする言葉の一つに「若者の読書離れ」がありますね。

 

確かにここ数年で急速にスマートフォンが普及し、欲しい情報を簡単に得られるようになったため、わざわざ本という媒体から情報を得る必要性が薄れたかもしれません。

 

しかし、若者が本を読まないのは、本当に今に始まったことなのでしょうか?

現在30代・40代の大人だって若いころは本を読んでいなくて、さらにその上の世代から「最近の若者は読書をしない」と言われていたかもしれないですよね。

 

そこで今回は、日本の小学生から大学生までの読書状況を、きちんと調べてみることにしました。

 

 

 

 

小・中・高校生の読書時間

 

調べたところ、国学図書館協議会毎日新聞社が共同で、全国の小・中・高等学校の児童生徒の読書状況について、毎年調査を行っているようです。

 

現執筆時点の最新のデータである第63回目の調査(2017年6月実施)結果は以下の通りです。

 

f:id:Polonaise:20171228103500p:plain    【出典:公益社団法人国学図書館協議会 http://www.j-sla.or.jp/material/research/63.html

 

このデータは毎年6月の上旬に行われる調査で、「過去1ヵ月間(5月中)に何冊の本を読んだか」という内容ですね。

 

私はこのデータを見て気づいたことが2つあります。

 

まず1つ目は、子供は成長するにつれて本を読まなくなるということです。グラフが上から見事に、小学生・中学生・高校生と並んでいますよね。この点に関しては過去20年どの年にもいえることです。

特に、小学生と中学生の落差が大きいので、多くの人は中学生あたりから本を読まなくなるようですね。

 

その原因として考えられるのは、学校の勉強や部活に時間をとられる、読書以外の娯楽が増えるなどですかね。

 

そして2つ目は、小・中・高それぞれの読書冊数を過去と比較して減少している凡例は一つもないという点です。分かりやすく言うと、右下がりのグラフは一つもないということですね。

 

つまり、「最近の若者は本を読まない」という言葉は、小学生・中学生・高学生に限って言えばあてはまっていないといえます。それどころか、小・中学生に関してはむしろ近年増加しています。

また、高校生が本を読まないのは今に始まったことではないようですね。(笑)

 

 

大学生の読書時間

 

調べたところ、全国大学生活共同組合連合会という組織が毎年調査を行っているようです。

現執筆時点における最新データである第52回の調査(2016年10~11月実施)結果は以下の通りです。

 

f:id:Polonaise:20171228103917p:plain       【出典:全国大学生活共同組合連合会 http://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html

 

このデータは大学生を対象に、「1日にどれだけの時間本を読むか」という調査の結果です。

 

まず注目すべきところは、2016年の時点で一日の読書時間が「0分」の大学生が約50%を占めているという点です。しかも近年その勢いが増していて、この先数年で60%は超えてしまいそうですね。(笑)

 

また、数十分は読むという学生の割合も依然として低水準にあるため、読む人と読まない人の差が開きはじめている訳でもなく、全体的に読書時間が減っているようですね。

 

なるほど。これはひどい。(笑)

 

また、男女別のデータは以下の通りです。

 

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このデータを見て言えることは、女子学生の方が読書しないということに尽きます。

 

詳しく見てみると、以前は女子の方が読書時間が長かったのに、2006年で読書時間が男女逆転して、なぜか2007年には女子の読書時間が前年の半分になっています。これ何があったんですかね。(笑)

 

私は女子大生の生態にあまり詳しくないのですが、おそらく友達付き合いやSNS、服・化粧品を買うためのアルバイトなどを優先しているため、平均読書時間が少なくなっていると推測します。

 

読書時間の国際的比較

 

また、さらに考察を深めるべく、読書時間の国際的な比較を行いたいと思います。

 

調べたところ、NOP World Ltd. というイギリスの会社が2004年から2005年にかけて、13歳以上・3万人以上・30ヵ国を対象に調査を行ったようです。

 

残念ながらこのデータは10年以上前のものですが、それでも大まかな比較は行えるはずです。

 

調査結果は以下の通りです。

 

f:id:Polonaise:20171228104814p:plain       【出典:NOP World Culture Score(TM) Index Examines Global Media Habits... Uncovers Who’s Tuning In, Logging

 

このデータの上部は、1週間の読書時間が長い国ランキングになっていて、下部は性別・年代別によく読む本のジャンルについてまとめられています。

 

ランキングトップ3は、1位インド、2位タイ、3位中国という結果になっています。

このことから、上位にランクインしている国は南・東南・東アジアと特定の範囲に集中していることがわかります。これは面白いですよね。

 

一方、肝心の日本はというと・・・。

30ヵ国の中で、29番目という残念な順位だったようです。(笑)

 

しかしそうなってくると、「読書しろ!」という大人たちのアドバイスにも説得力がなくなってきますよね。

そういうあなたも、世界から「もっと読書しろ!」と思われてるでしょうから。(笑)

 

とはいえ、これは少々古いデータのため、今調査しなおせば順位が多少改善されているかもしれないですね。

 

まとめ

 

日本の若者の読書離れが進んでいるのは、大学生に限った話で、小・中学生の読書時間はむしろ近年増加していました。

 

また、日本は国際的にみて読書量が少ない国だということがわかりました。

 

今回、「若者の読書離れ」について色々と調べてみましたが、読書好きな私としては非常に残念な結果となり、やるせない気持ちそのものです。

 

一般的に、読書量と教養の豊かさには正の相関性があり、教養の豊かさは自身の年収に影響を与えます。普段あまり読書をしないという方は、まずは少しでも文字を読む習慣をつくることから始めてはいかがでしょうか。